どんな会社で働きたい?
誰でも働かなくて生活ができたら、と考えたことはありませんか?
しかし、人間社会の中で生きていく上では大半の人が仕事をせざるを得えません。人生の大半を費やすことになる会社では、何を求め、どのような会社を選択するのが幸せなのでしょうか?
今回は、働きたい会社環境について考えていきます。
☑ 人気企業ランキング
就職活動で人気の業種といえば、最近では、金融業界や旅行業界、メーカーなら食品業界、といったあたりが人気です。
以下は2018年度の学生の希望する就職希望先人気ランキングの詳細です。
〇金融業界
金融業界は、多くが企業人気ランキング総合順位の上位にランクインしており、総合トップ10に6社、50位までに14社が入っています。
知名度が高く安定的な会社というイメージが強いこと、募集人員の多さから、人気が高く、2018年度の就職人気ランキングのトップ3は、1位みずほフィナンシャルグループ(総合1位)、2位三菱東京UFJ銀行(総合3位)、3位野村證券(総合6位)という順番になっています。
〇マスコミ業界
マスコミ業界の1位は、講談社(総合13位)、2位はJR東日本(総合15位)、3位は集英社(総合16位)と続きます。これまで業界トップだった電通は、11位(総合74位)にとどまっていますが、これは近年判明した女性社員の過労死事件の影響で、学生が敬遠する結果となったようです。
〇メーカー
メーカーの人気ランキング1位はトヨタ自動車(総合35位)、2位がパナソニック(総合39位)、3位三菱電機(総合41位)という順番になりました。
就職希望者の最近の傾向としては、企業を選ぶ際、自分の興味のある業種、仕事内容よりも、給与、労働時間、休日等の福利厚生が充実しているかどうかに重点が置かれ、また、ストレスが少ない業種が人気が出てきている傾向にあります。
☑ 日本人が会社に求めるもの
人が仕事を探すとき、職場に求めるものは、その時の時代背景が投影されている、と言われています。日本の学生の価値観は、ここ数年で変化しています。
この10年で、「プライドの持てる仕事」や「夢のため」に働くと答える自己実現志向の学生が減少傾向にあるほか、中小企業に目を向けるよう学生に指導する動きが大学側に広がり、景気回復を見込んでの「大企業志向」は、これまでのようには増えないのでは、との見方があるようです。
新卒学生の就職感調査では「自分が共感できる企業」、「福利厚生が充実している企業」が、就職先を選ぶ上での基準のトップとしてランクインしています。
仕事だけではなく、プライベートの充実も望み、転勤や転職はできれば控えたいという志向も、特徴として表れているとのことです。
また、会社に求めるものは、男女によっても大きく見解が異なります。
多くの男性は、最後まで勤め上げられそうな安定した会社で、自分の能力も向上させつつステップアップを重ねられ、給与UPしながら安定した生活を手に入れることができるような会社を求めているのに対し、女性は、将来結婚したり子どもが出来たときに、休日や待遇が整ったところが良い、という意見も多くあります。
女性が管理職や高い地位に就けれる会社であるかどうかも、キャリアアップを希望している女性には、重要なポイントでもあるようです。
貢献と報酬の関係については、評価の良し悪しに関係なく安定的な収入が得られる企業が好まれ、体力的・精神的なストレスが少ない業種が人気です。
日系企業は、有給休暇の利用率が極端に低く、休みにくい風潮があり、また残業の多さも度々報じられているように、総じて働きやすさだけで言えば世界的に劣っています。その為、外資系に就職を希望する学生や転職希望者は少なくありません。
多くの就活生の希望先企業は都心の大企業が殆どですが、転職希望者は特に都心や大企業にこだわっている人が目立つわけではありません。これは、通勤時間や報酬など、仕事と私生活をのバランスを自分でコントロールできるような、ワークライフバランスが重視されてきていることによるからでしょう。
☑ 海外の人々が職場に求めるものは?
日本以外の国では、仕事を選ぶ上で、どのようなことが重要視されているのでしょうか?
日本を除くアジア8カ国の調査結果では、すべての国で「高い賃金、充実した福利厚生」が「仕事をする上で大切だと思うもの」のトップとなりました。
アメリカ、イギリス、オーストラリアでは、56%が「仕事内容を重視する」と回答し、続く2位は「給与」となりました。しかし、国別に「転職時の基準」を調査すると、「給与」が転職をする上で最も要視されているという結果が出ました。その他、福利厚生(44%)、オフィスの場所(39%)、昇進の可能性(35%)、スケジュールの柔軟(31%)、会社のブランドと評価(20%)と続きました。
☑ 日本一社員の幸せな会社と言われている未来工業
岐阜県にある電気資材を中心に作っている未来工業は、そのユニークな経営方針が注目を浴びています。
創業者の山田昭男さんによれば、会社の存在意義は「社員の幸福」と「社会貢献」ただ二つだそうで、創業当時は4人で始めた未来工業も、現在では800名あまりの社員にまで増えこの不景気の今でも順調に売り上げを伸ばしている会社です。
驚くべき会社方針の一つに、営業ノルマ禁止、残業禁止、上司への「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)」禁止、があります。上司が部下に命令すれば、その上司は降格、社員800人はすべて正社員で制服も無ければタイムカードもありません。
年間休日は140日、有給休暇40日、5年に一度は会社負担で全社員海外旅行をし、社員旅行でクイズ50問に正解したら半年間の有給休暇などが与えられます。
それでいて、「創業以来、赤字なし」という素晴らしい実績のある会社で、社員の平均年収600万、65歳の平社員の平均年収700万、しかも定年は70歳です。
☑ まとめ
仕事もプライベートもどっちも大事にしたいが、でも仕事のスキルも役職も徐々に上がっていくような安定した会社で働きたい、というのが最近の若年層の総意です。
終身雇用制度が揺らぎ始め、転職が珍しくなくなってきた日本では、これからは、海外の人たちがどのような考え方や方法でキャリアパスを描いているのかを参考にしてみるのも良いかもしれませんね。