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地熱発電のまとめ

これまで火力発電、風力発電等の再生エネルギーをご紹介してきましたが、どれもメリットがある反面、デメリットもあります。そこで、理想的な再生エネルギーとして、地熱資源を有効活用する地熱発電も注目されています。
今回は、地熱発電ではどのような仕組みで電気がつくられ、どのような種類があるのか、その基本をご紹介します。

☑ 地熱発電とは?
地熱発電とは、地中深くから取り出した蒸気で直接タービンを回し発電するものです。火力発電所では石炭、石油、LNGなどの燃焼による熱で蒸気を発生させるのに対し、地熱発電では地球がボイラーの役目を果たしているといえます。
一般に地球は、地中深くなるにつれて温度は上がり、深さ30〜50キロメートルで1,000度程度と考えられており、一つの大きな熱の貯蔵庫といえます。
しかし、この熱源はあまりにも深部に存在するため、現在の技術でこれをエネルギー資源として利用することは、まず不可能です。
ただ、火山や天然の噴気孔、硫気孔、温泉、変質岩などがある、いわゆる地熱地帯と呼ばれる地域では、深さ数キロメートルの比較的浅いところに1,000度前後のマグマ溜りがあり、この熱が地中に浸透した天水などを加熱し地熱貯留層を形成することがあります。このような地点において、地球内部の熱を直接エネルギー源として利用するのが地熱発電です。
井戸などを掘ってこの高温の蒸気を取り出し、タービンを回すことで発電するのが、地熱発電の一般的なしくみです。

☑ どんな種類があるの?
地熱発電には、大きく二つの方法があります。発電用のタービンを回すために、地下の高温の蒸気を直接利用する方法と、沸点の低い別の流体を利用する方法です。
それぞれ、主にフラッシュ方式、バイナリ方式と呼ばれています。
●フラッシュ方式
地下から200℃以上の高温の熱水をくみ上げられる場合に適した方法です。
地下の熱水の貯留層から、鋼管杭で蒸気を取り出し、タービンを回すことで発電する方式です。
発電に使われた後の蒸気は、冷却塔で冷やすことにより水になります。
この水を地下に戻すための井戸を還元井といい、最初に高温の熱水を取り出すための井戸を生産井と言います。

●バイナリ方式
バイナリ方式は既にある温泉熱(水)・温泉井戸等を活用した方式で、新たな掘削、還元井等は使用しません。
まだまだ導入の余地がある発電方式であり、新たな掘削等も必要としないため、環境にも優しい発電方法と言えます。地下からくみ上げられる熱水の温度についても、100℃程度が目安で、既存の温泉施設等に発電施設を追加で建設することも可能です。
水よりも沸点の低い有機媒体等を熱水で温めて作り出した蒸気によってタービンを回し、発電する方式です。

☑ どれくらい発電してるの?
地熱発電は、約52万kWの設備容量が認定されています。
地熱発電は年間を通して高い設備利用率で発電し続けられることが特長です。一般に、地熱発電の設備利用率は80%以上とも言われ、年間の発電量は約36億kWhとなり、一般の家庭 約100万世帯分の年間消費電力量をまかなえる計算です。

☑ メリットとデメリット
地熱発電のメリットは、CO2をほとんど出さずにエネルギーを作り出すことができる点です。
また、地球内部のマグマの熱を使うので、エネルギー源が枯渇する心配はまずありません。太陽光発電や風力発電のように、発電量が昼夜、年間で変動することもなく、安定した発電量を得られることも、大きなメリットです。
環太平洋火山帯に位置する日本は、世界でも有数の豊富な地熱資源に恵まれており、そのポテンシャルは現在の設備容量の約45倍、2,347万kWもあるといわれています。
良いことずくめのような地熱発電ですが、発電設備を作るための調査や開発には大変な時間とコストがかかります。
それが日本にはポテンシャルがあるにも関わらず、地熱発電の設備の導入が進んでない理由の一つです。
導入が進んでいない、もう一つの理由は、地熱発電に適した場所が国立公園の中であったり、温泉地であったりすることにあります。

☑ 地熱発電に適している場所は?
地熱発電に適しているのは、火山の近くの平坦な土地です。
日本国内だと、断層の付近、主に北陸・東北・九州・北海道などに高いポテンシャルがあると考えられています。
地熱発電設備を作るためには、高温の蒸気がたまっている層まで掘削する必要があるのですが、山だとその分、深くまで掘削しなければならなくなるため、コストを抑えるためには海抜の低いところが適しています。

☑ まとめ
燃料が不要で半永久的に安定して利用できる再生可能エネルギーである地熱発電は、クリーンエネルギーであり、CO2排出抑制効果が高く、天候・昼夜を問わずに安定した発電が可能となり、理想的なエネルギーと言えるでしょう。
しかし、自然の景観に恵まれた場所が多いため周辺環境との調和をはかることなどに留意する必要があり、この点が大きな課題となっています。

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