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資本主義とは?

 

学生時代に習った記憶のある「経済体制」について、すっかり忘れてしまったという人も多いのではないでしょうか?
例えば、日本は資本主義国家ですが、その特色や異なる体制の社会主義との相違点等は何でしょうか?
そこで今回は、資本主義に絞って、その基本的な内容から今後の課題等、解説します。

 

☑ 資本主義って、そもそもどんな主義?

簡単に一言で説明すると、資本主義とは、「自由な経済体制」のことです。
資本主義とは、働いたらその労働力に応じて報酬が得られるという制度であり、自由に経済活動を行える社会です。
モノの価格やサービスの内容は市場の競争によって変動し、これを市場主義といいます。一般的には競争によって価格はより安く、サービスはより質が高くなりますが、需要が多ければ価格が上がることもありえます。
また、業績の良い会社に就職して多くの報酬を受け取る、起業して稼ぐなどの選択肢は本人次第です。成功すればたくさんの富を手にするかもしれません。しかし逆の場合、失業や生活苦のリスクもあります。
資本主義の反対にあるのが社会主義です。社会主義国では、財産は国家が所有し、資源や労働力やモノの値段などは国が管理します。国民には労働量に関係なく、一律の対価が支給されます。

 

☑ 日本はいつから資本主義なの?

日本の資本主義の開始時期は、明治維新以後、とされています。
明治維新で「士農工商制度」が廃止され、「市民が好きな職につける」といった資本主義の基礎が築かれました。なお、世界的には18世紀後半から19世紀半ばに起こった産業革命によって、資本主義が発達しました。

 

☑ 資本主義と福祉国家の違いは?

福祉国家とは「社会保障を制度化している」体制のことです。自由競争を基本とする資本主義と社会保障は相容れない気もします。しかし、不況で大量の失業者や生活困難者が発生した場合の問題を解決するため、また、資本主義から生じる貧富の差を埋めるために、政府は20世紀頃から社会保障を拡充しはじめました。
しかし、社会保障を充実させると財政支出も増加します。そのため、近年は社会保障制度の民営化が進んでいるのです。国が何でも行うのではなく、「民間でできることは民間でやろう」というわけです。

 

☑ 同じ資本主義の国でも政治体制は違うのか?

資本主義とは国の経済に対する考え方であり、政治体制とは別で、経済は同じ資本主義でも、統治方法は国によって様々です。
日本には天皇制度がありますが、天皇は象徴であり、国を動かす決定は内閣、ならびに国会が行います。これを「議員内閣制」といいます。
アメリカは大統領制で、議会はありますが国王は存在しません。フランスでは大統領と首相が存在しますが、大統領が強い権限を持ちます。そしてイギリスは日本と同じ議院内閣制です。国王は元首ですが統治権限を持たない、という点で日本の天皇制と類似性があります。

 

☑ 資本主義の長所、短所

資本主義には、自由な制度で長所もありますが、一方、短所もあります。
主なメリット、デメリットは以下の通りです。
<メリット>
●個人による財産保有が認められる
●自由に好きな職業に就ける
●働けば多くの収入を得られる
●民営企業のそれぞれの個性が引き出せる
●環境問題を重視している
●経済成長を遂げやすい
<デメリット>
●貧富の差が激しい
●物価が高い
●医療費・教育費がかかる
●景気の波が生じる

 

☑ 更に格差が広がる時代

資本主義には貧困という問題が常に付き物です。
順調に経済成長を続けていれば、社会にお金が循環して、格差は自然に縮まると考えられてきました。しかし、実際には格差は広がる一方で、貧困はどんどん深刻化しています。
あるデータでは今のアメリカでは、富裕層の上位10%の人がアメリカ全体の資本の70%を持っているそうです。そして、中間層である40%の人たちが25%を、残りの50%の貧困層が5%を分け合っているというのです。
アメリカほどではないにしても、今の日本でも格差は広がり続けています。
競争が激しくなればなるほど、新しい技術や革新的なサービスが出尽くしてしまいます。そうなると、後は価格で勝負するしかなくなります。
最初は大規模効率化や業務効率の改善で対処しますが、それもいずれ限界に達します。そして、最終的には人件費を削減するために、リストラや低賃金の非正規労働者が増えることになります。
経済成長が限界に達した現在、それでも無理に売り上げを上げようと、企業は躍起になっています。行き過ぎた競争は、遂に資本主義経済を支えている中間層から、お金を奪うことを始めたのです。
こうして、それまで中間層だった人たちが貧困層に落ちていきます。
中間層が消えれば、当然、消費が低迷し、また、少子化問題なども発生します。中間層が減ることは消費人口の減少を意味します。そうなれば、経済はますます悪化します。

☑ 幸福度

北欧諸国は「社会民主主義」という中道左派の政党が政権を担っています。
世界の国々の幸福度を調査した結果でも、格差の少ない北欧諸国が上位を占めています。
ところが日本は世界がうらやむほど豊かな国でありながら、そこに住む人々の幸福度は年々下降しています。最近の調査では、日本の幸福度は46位まで下がり、逆に「後進国」とされるような日々の生活に困る人が沢山いる国々の方が日本よりも幸福度は高いことも珍しくありません。
社会格差が小さければそこに住む人々は不満が少なく幸福を感じるのではないでしょうか。

 

☑ まとめ

資本主義は、自由な競争ができる、といった長所がある一方、貧富の格差、少子化、人口の減少等の短所もあります。
人口の減少は消費の低迷や労働人口の減少を招くため経済に大きな悪影響です。
貧困、格差、少子化等、今後、これらの問題をどう対処していくかが、資本主義国家の大きな課題となっていくでしょう。

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