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フェロモン・パーティーとは!? その内容は意外と奥深いらしい。

2016/11/22

流行の最先端を行く都市の一つであるイギリス・ロンドンで、最近ちょっと不思議なパーティー「フェロモン・パーティー(Pheromone Party)」が流行りだしているのをご存知でしょうか?
今回は、ちょっと変わったパーティーと、その裏に秘められた科学実証をご紹介します。

 

☑ フェロモン・パーティは、日本で言う体臭合コン?!

このフェロモン・パーティーは、主に、ロンドン地区にあるバーの店内で主に開催されています。数十人の男女がプラスチックの袋をとっかえひっかえしては、鼻を突っ込んでにおいを嗅いでいる、何とも怪しげな光景がこのパーティーの特徴です。
袋の中身は、ドラッグのような違法なものでは勿論なく、実は、ちょっと汗臭いTシャツなのです。
ここに集まる好奇心旺盛な人々は、全員独身であり、このフェロモン・パーティーは、体臭が恋人選びの決め手になるでかもしれない、という発想から生まれた新しい出会いの場となっているのです。つまり、簡単に言えば、日本の合コンのようなものなのです。

 

☑ フェロモン・パーティーへの参加資格

このパーティーに参加したい人は、パーティーに先立って3夜連続で同じ木綿Tシャツを着て寝なければなりません。
勿論、制汗剤も香水もつけてはいけず、自分の体臭だけが染み込んだTシャツをパーティー当日に透明なプラスチックの袋に入れて持ち寄り、各自に割り振られた番号を女性はピンク色のラベル、男性は青色のラベルに書いて貼る、という仕組みになっています。
「好きなだけにおいをかいで楽しんでね!」という主催者の掛け声とともに、フロア中央の大きなテーブルの上に並べられた袋に人々が一斉に駆け寄る光景は、何とも興味深いものです。
袋を開けて自分の気に入ったTシャツの臭いがあれば、その袋を手に写真を撮ります。写真はプロジェクターで壁に投影され、選ばれたTシャツの持ち主が「求愛」に応じれば、カップル成立という仕組みになっています。

 

☑ フェロモン・パーティーは脳科科学的に立証できる

臭いから恋人を探す、という発想は、ロンドンならではの奇抜な発想で、面白半分として話のネタくらいにはなりそうですが、実はこのフェロモン・パーティは、脳科学的には立派に立証できてしまうくらい、理にかなっているものなのです。
最初に行われたフェロモン・パーティーは、2010年に米国でアーティストのジュディス・プレイズ(Judith Prays)氏が開催しました。この着想の基になったのは、スイスの科学者クラウス・ウェーデキント(Claus Wedekind)が行った実験です。
ウェーデキントは、動物の性的行動の基になっているのはフェロモンであり、それは人間にも嗅ぎ分けられるはずだと提唱していました。

 

☑ そもそもフェロモンとは?

フェロモンはフランスの博物学者ファーブルが、オスのガ(蛾)が発する微妙な臭いに引き寄せられるメスのガの研究に始まり、その後の多くの学者により、昆虫は仲間同士で何かしらの情報交換をするため誘導物質を分泌しているということが解ってきました。
誘導物質には、無臭のものや性行動とは関係のないものも見つかっていますが、これらを称してフェロモンと呼んでいて、ヒトを含む哺乳類にもフェロモンがあることが解っています。

 

☑ 知らずのうちに五感で異性を選んでいる

人は「見た目」(視覚)だけで異性を判断していると思われがちですが、実は人間は無意識のうちに五感(視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚)の全てを駆使して異性を選んでいると考えられているのです。
そのなかでも、フェロモンには嗅覚に作用するHLAと呼ばれる匂いの遺伝子が深く関係していることが解っています。HLAは恋愛遺伝子とも呼ばれていて、先祖から受け継いでいる遺伝子の一種で、一人ひとりの免疫情報を決定する遺伝子であり、また数万通りの組み合わせを持つ遺伝子だそうです。
生物学者の研究によると、女性が最も惹きつけられるのは、免疫に関わる遺伝子が自分と最もかけ離れた男性の匂いであることが科学的に証明されました。異なる遺伝子を持つ男女が結婚することにより、より健康で強い抵抗力がある遺伝子を持つ子どもが生まれてくる可能性が高くなる、という強い子孫を残すための生物学的な行動だそうです。
つまり、異なるHLAタイプを持つ異性の匂いほど、強い好意を感じるということになります。

 

☑ まとめ

生物学的に見れば、恋愛には嗅覚だけでなく、もっと多くの情報交換が必要です。
しかし、フェロモン・パーティーが、自分と異なる遺伝子タイプの相手を探すひとつのきっかけになることも科学で実証されていますし、強い子孫を残せるきっかけになるかもしれませんね。

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