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プラスチックとは!? 実はあんまり知らないのかも。

 ペットボトル、CD、テレビ、自動車等、現代の身の周りにあふれている便利な品々の多くには、プラスチックが原料となっています。プラスチックの発明により恩恵を受けている人類ですが、しかし、一方で環境に対しては評判が良くありません。 そこで、今回はなぜこんなにプラスチックが使用されるようになったのか、そしてなぜ評判が悪いのか等、プラスチックに関しての記事をご紹介いたします。

 

☑ プラスチックの歴史

プラスチックの前身に、シェラックと呼ばれる天然樹脂の一種がありますが、このシェラックは、ポリ塩化ビニルが出現するまで、レコード盤に用いられていました。

プラスチックの歴史は、ポリ塩化ビニルが1835年に、ポリスチレンが1839年に発明され、1870年にはプラスチックの草分け的存在であるセルロイド(半合成プラスチック)が工業化されてビリヤードの玉や映画用のフィルムに用いられました。

その後、フェノール樹脂が1909年に工業化され、カメラのボディや電話機に活用されます。

1920年にはユリヤ樹脂、1911年にはアルキド樹脂、1917年には酢酸セルロースが出現し、さらに1934年には飛行機の風防で有名なアクリル樹脂が工業化され、1930年にはポリスチレンが工業化されます。

第二次大戦後には「ビニール」の名で親しまれた「ポリ塩化ビニル」をはじめ、「ポリスチレン」、「ベークライト」の「フェノール樹脂」などのプラスチックや合成ゴム、合成繊維がわれわれの生活に登場します。 1960年代になると、石油化学コンビナートブームを迎え、エチレンを中心とした総合化学工業が誕生し、ポリエチレンをはじめ、種々のプラスチックが大量に生産され、われわれの衣類や住環境へ浸透、普及していきました。

その後も、コンビナートはますます巨大化し、エチレン中心からプロピレン中心へ変革しながら、今日の隆盛に至っています。

 

☑ プラスチックの原料

プラスチックの原料は石油です。石油のもとである原油を加熱分解すると、ガソリン、灯油、ナフサ、軽油、重油などになりますが、 大部分のプラスチックはこのナフサを主原料としています。 ナフサをさらに加熱分解して分離すると、プラスチックの原料のエチレンやプロピレンになります。

 

☑ プラスチックの種類

プラスチックには成分が異なる沢山の種類があり、それぞれの性質も異なります。

プラスチックの中には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど、「ポリ」という名前がついているものが多くあります。「ポリ」というのは、はギリシャ語で「たくさん」という意味で、例えばポリ袋の材料になる「ポリエチレン」は「エチレン」という分子が1万個程つながって「ポリエチレン」になります。

ペットボトルのペット(PET)は、英語のポリエチレンテレフタレートの頭文字をとったものです。 プラスチック製品には、ビデオテープやたまごのパック、発泡はっぽうスチロールの箱、台所・風呂用品などの日用生活用品から、ガラス繊維などを加えて強くしてCD、携帯電話、コンタクトレンズ、漁船、自動車部品等、その種類は多岐に及んでいます。

 

☑ プラスチックの特性

プラスチックには、様々なメリットがあります。

プラスチック材料の大きな特徴の一つに、成形性が非常に良い事が挙げられます。大量生産に向いており、低コスト・低時間での生産が可能です。 そして、軟らかい性質のものから機械部品のような硬い性質のものまで、硬軟に幅広い性質の製品を作り出すことができます。 プラスチックは金属材料などの他の材料に比較して比重が小さく、機械的性質が強いものがあり、ガラス繊維などを加えて強度を増すことも可能です。 また、プラスチックは一般に良好な絶縁体ですので、いろいろな電気絶縁性品が製作可能となり、逆に銀粉、炭素粉を混合することにより、電気伝導性のよい製品を作ることが出来ます。 無色透明で美しい樹脂も多く、また原料に染料や顔料を混ぜることにより美しく自由に着色することが可能です。 一方、プラスチックのデメリットとしては、金属材料、磁器材料に比べて耐熱性が低いことです。一般的な材料で最も軟化温度(溶け始める温度)が高いものでも260~270度であり、低いものでは40~50度で溶けてしまいます。 プラスチックは表面がやわらかい為、表面が傷つきやすいのも欠点です。また、電気絶縁性が良いので帯電しやすく、ほこりなどがつきやすく汚れやすくなります。放電を起こしやすいので注意を必要とします。

 

☑ プラスチック製品が環境に与えている問題

木の葉は地面に落ちるとバクテリアの働きで腐り土に返るので環境問題は生じません。しかし、プラスチックは腐らないので土に埋めても分解されず環境問題となります。

クラゲを餌にしている魚が海中に漂っているビニール袋を誤って食べてしまったり、捨てられた釣り糸に足がからまって死んでいた鳥などが、見つかっています。人間の不始末によるごみで、他の生物が犠牲になっているのです。 プラスチックは炭素と水素が主体の化合物なので燃えます。しかし、プラスチックの原料である石油は化石燃料なので、燃えた後に生じる二酸化炭素が大気中に増加することによって地球温暖化の原因となります。

また、一部のプラスチックの焼却により、ダイオキシンが発生します。ダイオキシンは人類が作り出した最強の毒物といわれ、発ガン性その他の障害が報告されています。ダイオキシンは本来自然界にはない物質で、時間が経っても分解せず、主に魚介類の食事から人体に取り込まれます。

 

☑ まとめ

今日、プラスチックは私たちの日常生活に欠かせない存在となっていますが、それと同時に、ごみとしてのプラスチックはその処理が大きな問題になっています。環境への影響を踏まえ、製品が作られて、使われ、廃棄やリサイクルされるまでのライフサイクルを総合的に見直し検討する必要があるでしょう。

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