教育ってなんだ!? 世界と日本の違いから考える。(その1)
2018/03/22
場所が変われば環境や言葉も異なり、特有の文化や考え方が生まれます。教育もその一つで、世界各地ではその教え方、制度、学費なども様々な形態がありますが、幼少期に与えられる教育は、その後の性格や思考などに少なからず影響が及ぼされます。
そこで今回は、世界各国の教育制度を日本と比較してご紹介します。
☑ 「教育」の理念
「教育」は文字通り「教えて育てる」ことですが、そこには欧米との大きな違いがあります。
日本では、先生が子供に教えを植え付けているという教育の在り方をしているのに対し、欧米では子供たちの能力を引き出すことが主眼だとされているのです。
英語のeducationは日本語では「教育」と訳されますが、元々はラテン語の「e-(外へ)+ducere(導く)」という言葉から来ており、「内なるものを外に導く」つまり「子供の可能性を外へ引き出す」という解釈がされています。
欧米の教育はまさにこの言葉通り、子供たちの能力や可能性を受け身にせずに積極的に前へ引き出すことを目的としているのです。
日本では「叱る教育」とも言われているように、子供が間違いをすれば叱って正しい道へ導くといった教育法であるのに対し、欧米ではミスを叱りません。ミス自体に重きを置かずにミスしていない部分を褒めちぎるという教育方法をしています。
そうすることで、子供に自信がつき、ミスすることも恐れなくなり、ミスしても前向きに進めるようになる、と考えられています。
もちろん叱る時はきちんと叱りますが、叱ることと褒めることの重さが違うのが欧米の教育といえるでしょう。
☑ 自主性、個性、自己主張
個人主義が一般的な欧米では、子供たちは小さな頃からこうした精神を身につけることを学びます。ところが日本では個性を大切にしつつも、やはりみんなと同じでなければいけないという前へ倣えの精神が根深く残っているのが教育現場の現状です。
日本では、数字と数字を足していくつになるかという答えが求められることが多いのですが、例えば、イギリスではその答えになるには、どの数字を足せばいいかということを子供たちに考えさせるのです。
つまり、答えは一つではないということです。詰め込み教育といわれるように、日本は「記憶力」で勝負する国ですが、欧米ではあくまでも子供中心の創造力、思考力が重視される教育をしています。
☑ 小学生でも留年させるアメリカ
アメリカでは、年齢より子供に合った学力が重視される為、義務教育の小学生であっても留年があり、生徒の学習レベルが達していないと先生が判断した時は、同じ学年をもう1度繰り返さなくてはいけないのです。
また早生まれの子供は、親が希望をすれば入学するのを1年遅らせることが出来ます。
更にアメリカの保護者は積極的に学校に関わっていて、親のボランティアなしでは授業が成り立たないと言われているくらいです。 生徒のファイルにプリントを入れる作業や宿題の添削もボランティアで親がやっていることが多々見うけられます。
そして、日本ほど塾が発達しておらず、学校の勉強を宿題と併せて家でしっかり勉強していれば十分で、子供の内には色々な経験をさせたいと考えている親が多いようです。ですがその代わりに、親は教育には積極的に参加して知ろうとしていますし、意見も積極的にするようです。
☑ ノルウェーの高校では3年間授業でゲームが導入
日本ではちょっと信じがたいような教育方法ですが、ノルウェーのある高校では3年間、ゲームのカリキュラムが加わりました。一人でプレイする時もあればチームを組んでプレイしたりと、ゲームの成績は当然結果として残ります。
一方、日本では「ゲームをすると目が悪くなる」「勉強に集中できない」といったネガティブな意見は聞こえても「ゲームをどんどんやろう!」という声は皆無ではないでしょうか。
ノルウェーのこの高校では「ゲームをすることで忍耐力や反射神経が養われ、チームプレイによって協調性やコミュニケーションが培われる」とし、ゲームを授業に取り入れているそうです。
まさに欧米の教育方針で育ってきた大人ならではのアイデアでしょう。
☑ 学力世界1位のフィンランドの教育方針
フィンランドの年間授業日数は約190日で、OECD加盟国(34か国)の中で最も少なく、日本と比べると40日ほど少ないことになります。
夏休みは6月中旬から8月中旬までの2カ月間と長く、小学生の間は宿題やテストもほとんどありません。
また、日本の様に塾がないため、校外で勉強することがありません。家での勉強時間も他の国と比べると少ないです。
そうすることによって、フィンランドの子供達は、休む時にしっかりと休み、なるべくフレッシュな状態で、自発的に勉強に取り組めるようにモチベーションを保つことができているようです。
フィンランドでは、子供達からの教師への憧れが強く、なりたい職業ナンバー1の職業とされています。
日本の優秀な人たちが、主に官僚、弁護士などになる人が多いのに対し、フィンランドでは教師になります。フィンランドは、ヨーロッパで唯一修士号を取得した人のみが教師という職業に就くことができます。そのため、必然的に教師自体の学力が、他国と比べ高いようです。
また、部活動や課外授業がないため、教師が勉強を教えることだけに専念できる環境になっています。
☑ 学校給食と掃除
海外では日本のような給食制度は無く、カフェテリアでランチをとる学校が一般的です。
また、日本の学校には、欧米のように教室を掃除してくれる用務員さんはいません。
海外では、日本の給食と掃除の時間をポジティブにとらえており、クラスメイトと連帯感が生まれたり、責任感を学ぶことのできるいい機会だと考えられています。日本に来た外国人は、ゴミがひとつも落ちていない街のきれいさに驚くと言いますが、こんなところにその理由があるのかもしれません。
☑ まとめ
日本と海外では、「教育」の概念そのものが異なっており、その指導方法はとても異なります。
子供の能力、可能性は「遊び」の時にこそ大きく広がります。その遊びを上手く取り入れるような教育システムを生み出すことが子供たちの世界を広げることになるのではないでしょうか。