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オーガニック野菜とは!? じつは知らないその定義と効果。

野菜などを選ぶ時、「オーガニック」「有機栽培」などの表示をよく見かけることがあります。「オーガニック」というと、体に良いとか安全というイメージがありますが、実際その言葉が持つ意味について正確に知っているという人は少ないようです。そこで、今回は「オーガニック」の定義やそのメリット等についてご紹介します。

 

 

☑ 「オーガニック」「有機野菜」とは?

オーガニック(organic)という言葉は、「有機の」という意味の他にも「自然に即した」という意味もあることから、自然と共生していく健康なライフスタイルを実現することが大きな目的とされています。
日本で定義されている「有機栽培」は、「一定の農場で3年以上農薬と化学肥料を使わずに栽培」され、食の安全の他にも自然環境や働く人々まで配慮した厳しい条件をクリアした農作物のことを指します。
厳しい条件とは、第三者機関から生産から最終梱包まで栽培の記録の審査をクリアした認定を受けてはじめてオーガニックの表示ができまするのです。
「有機」は主に肥料に「堆肥」を使用します。この「堆肥」とは微生物の力で有機物を完全に分解した物で、原料は様々ですが、一番多いのは家畜の糞を原料としたものです。ほかにはコンポストなどを用いて作られる生ゴミ堆肥や有機廃棄物(米ぬかや畜糞など)ともみがらを合わせて発酵させるもみがら堆肥などもあります。
オーガニックの基準を満たしたものと、自称オーガニックを明確に区別するために定められたのが「有機JASマーク」です。
この認定を受けていないと「オーガニック」や「有機」を表示できないとされています。

 

☑ オーガニックは環境に優しく自然に貢献

オーガニックの本当の目的は、自然なままの健全な食物連鎖を目指し、それによって私達人間も末永く健康でいることを求めることです。
この考え方で作られたオーガニックの農作物は、その作る過程においてそれに関わるさまざまな原料も、自然の摂理に逆らわない方法で作られたものを使います。
つまり、オーガニックの作物は環境の健全な状態を保ったまま作られ、その健全なサイクルが広がっていくことを意味します。
自然の良い状態が保たれると、食物連鎖の原理で私達の体にも良い影響をもたらしてくれるのです。
野菜の味は土によって決まりますが、化学肥料を使わない土は栄養分が豊かです。
オーガニックの土には「アミノ酸」や「ペプチド」などのタンパク質の分解物、多くのミネラル分が含まれており、これが野菜の味を美味しくしてくれます。
オーガニック野菜を食べると本物の野菜の味がわかり、苦手だったものも意外と美味しく食せる人も少なくありません。

 

☑ 日本のオーガニック商品は高価

日本は、欧米に比べオーガニック商品の値段が高い傾向にあり、しかもオーガニック商品が極端に少ないです。その理由は、下記の通りです。
●オーガニック農産物である、人間の手を加えていない在来種、固定種、有機種が基本だが、日本は農産物の95%の種がF1種といわれる人間の手を加えた交配種である
●農地も農業人口も少なく、農業従事者が高齢
●人件費が高い
●多湿でオーガニック農産物に適さない
●食料自給率が低く、食料を輸入に頼っているので高価になる

 

☑ オーガニック商品の栄養価

オーガニック食品は非オーガニック食品より最大70%抗酸化物質が多いことが判明し、安全性だけでなく、栄養面からも価値があると言われています。
実際この件に関しては日本でも海外でも諸説あり、オーガニックだからといって栄養価が高いというわけはないという意見が根強くありました。
2014年、イギリスのニューキャッスル大学でオーガニック農産物と非オーガニック農産物の栄養価の比較研究が行われました。
この研究に先立ち研究チームは世界各国の論文を分析し、常で摂取する野菜・果物・穀物といった農産物をオーガニックのものに切り替えることでより多くの抗酸化物質を摂取できるということを確認ました。
この結果は、2009年にイギリスで行われた研究での「オーガニック食品と非オーガニック食品で大きな差は認められず、オーガニック食品を食べることによる栄養学的なメリットはない」とした結論を覆しました。
特に牛乳(および乳製品)・肉においては明確な違いがあることが明らかになりました。例えば、オーガニック牛乳は、オメガ3脂肪酸が50%多く含まれているため、牛乳や乳製品をオーガニックのものに切り替えることで、カロリーや飽和脂肪酸の摂取量を増やすことなくオメガ3脂肪酸の摂取量を増やすことができます。
オメガ3脂肪酸は心臓血管系疾患のリスク低減、神経系の発達促進や機能の改善、免疫力アップ、ガン予防などに効果がある栄養素です。

 

☑ まとめ

有機農業は土壌の浸食を減らし、農薬を使用しない自然な方法で害虫駆除を促進し、ハチなどの花粉を運ぶ昆虫を増やし、そして何よりも有害な農薬の流出を防ぎます。
自然の摂理から大きく外れず、その流れの中で調和していく方法が、体には良いことが判明されつつあります。
健全な土壌で育ち、自然の摂理で育った野菜を口にすることはとても合理的で、多少値段が高くとも、その対価を支払う価値は十分あると言えるのではないでしょうか。

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